大学体育スポーツ学研究
Online ISSN : 2434-7957
原著論文
大学体育授業における動機づけ雰囲気と主観的恩恵評価の関係:受講種目と性別の違いに着目して
中須賀 巧木内 敦詞西田 順一橋本 公雄
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2020 年 17 巻 p. 12-22

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抄録

本研究の目的は体育授業における動機づけ雰囲気と主観的恩恵評価の関係について検討することであった.目的を遂行するにあたり,大学体育授業における動機づけ雰囲気の熟達雰囲気・成績雰囲気を独立変数とし,学生の主観的恩恵を従属変数に付置した分析モデルを設定した.4年制大学で体育授業を受講する学生1370名を対象に,質問紙調査を実施した.調査内容は体育授業における動機づけ雰囲気測定尺度と主観的恩恵評価尺度であった.分析には共分散構造分析を用いることとし,4つの群(男子・個人種目受講群,女子・個人種目受講群,男子・集団種目受講群,女子集団種目受講群)ごとにモデルの妥当性の検証を進めた.本研究で得られた結果は以下のとおりである.(1)熟達雰囲気から主観的恩恵への影響については,どの群においても熟達雰囲気から主観的恩恵の全ての下位尺度に正のパスを示すことが確認された.(2)すべての群に共通して,成績雰囲気から体力・身体活動および規則的な生活への有意な正のパスが確認された.(3)女子学生にのみ共通して,成績雰囲気から運動スキルへの有意な正のパスが確認された.(4)集団種目受講者の男子・女子に共通して,成績雰囲気から協同プレーへの有意な負のパスが確認された.(5)集団種目受講者群の男子にのみ,成績雰囲気の認知からストレス対処に負のパスを示すことが確認された.以上のことから,大学生において熟達雰囲気を強調した体育授業が学修成果を高めるのに有効的になることが示唆された.

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© 2020 全国大学体育連合
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