本研究では、認知機能検査が受検者にもたらす心理的影響の効果・副作用を検証するため、インタビ ュー調査と認知機能検査によるメッセージ効果検証実験を実施した。インタビュー調査の結果、認知機能検査結果に関わらず多くの対象者が、検査を難しいと感じていることや過去の検査結果と比較して結果を解釈していることが明らかになった。認知機能検査によるメッセージ効果検証実験の結果、認知機能の低下のおそれがない第3分類の人は、クルマ利用抑制意図・運転免許返納行動意図など4項目の値が、検査実施後に有意に低くなり、検査による副作用の存在が示唆された。認知機能の低下のおそれがある第2分類の人は、運転免許返納行動意図が事後に有意に高くなった。以上より認知機能検査による心理的効果・副作用の両面が存在する可能性が明らかになった。