2019 年 2019 巻 29 号 p. 845-850
利用可能エネルギー(EA)不足をアセスメントするためには,食事からの摂取エネルギー量と総エネルギー消費量(TEE)及び,運動でのエネルギー消費量(EEE)を把握する必要がある.しかし,これら3 つの項目を高い精度で評価するには時間と費用がかかる.本研究では,簡便にエネルギー消費量を評価することのできる「Web を用いた身体活動測定システム」をアスリート用に改良し,測定データの妥当性を検証し,EA 不足アセスメントツールシステム開発の基礎データとすることを目的とした.陸上長距離女子選手5 名を対象に,改良した「アスリート用Web を用いた身体活動測定システム」,「加速度計と手首型心拍計」それぞれの方法で同一期間7 日間,TEE,EEE,EA を測定および算出して妥当性を検討した.その結果,アスリート用Web を用いた身体活動測定システムから算出された値は,加速度計と手首型心拍計の実測値と比較してTEE とEEE は有意に高い値を示し,EA は有意に低い値を示した(p<0.001).またEEE(r=0.763, p<0.001)とEA(r=0.912, p,<0.001)は両者間に相関関係が認められたがTEE では認められなかった.これらの点から,アスリート用Web を用いた身体活動測定システムは,入力項目,入力の単位時間など,さらなる検討が必要であることが考えられた.