2024 年 13 巻 2 号 p. 74-80
同種造血幹細胞移植後の婦人科系疾患に関する報告は少ない。当科は移植後女性患者の婦人科定期検診(内診,経膣超音波検査,子宮頸部細胞診)を実施している。本研究では当施設の移植後患者37例(年齢中央値50歳,18-73歳)を後方視的に解析した。細胞診異常を認めたのは8例で,全例にbusulfan投与歴があった。高度扁平上皮内病変は4例で,そのうち1例は膣がんを発症し,放射線治療を受けた。軽度上皮内病変は3例,非定型扁平上皮細胞は1例であった。膣がん症例以外の7例の細胞診異常は1年半以内に自然消退した。子宮頸がん,子宮内膜がん,卵巣がんの症例はなかった。移植後の婦人科系がんに関連する因子を特定するためにはさらなる分析が必要であるが,移植後の婦人科系疾患の早期発見・治療のため,問診方法を工夫し,婦人科受診を推奨することが重要であると考えられた。