2024 年 46 巻 1 号 p. 45-51
子宮頸部発生の中腎型HPV非依存性腺癌(中腎癌)は希少であり,その治療方法は確立されておらず,化学療法感受性についての検討も不十分である.症例は30歳,未経産.不正性器出血を主訴に受診,子宮頸癌を疑った.診察,生検および画像診断から子宮頸部腺癌IIA2期と診断し,手術予定としたが,SARS-COV-2感染症に罹患したため,当時のSARS-COV-2罹患後手術リスク評価を鑑み8週以上の手術待機の方針として,パクリタキセル・カルボプラチン(Paclitaxel and Carboplatin: TC)療法を2コース実施した.部分奏効と判断し,広汎子宮全摘出術を施行した.摘出検体の病理組織学的診断の結果,中腎癌IIA2期,ypT1b2N0M0と診断した.術後はTC療法を4コース追加投与し,13カ月再発を認めていない.子宮頸部中腎癌に対し,術前化学療法(Neoadjuvant chemotherapy: NAC)としてTC療法を実施し,奏効を確認しえた最初の報告をする.