2001 年 23 巻 1 号 p. 59-67
症例は50歳の女性. 全身の有痛性難治性びらんを伴う紅斑を主訴に受診. 天疱瘡を疑い生検を行った. 採取標本は病理組織学的に膿痂疹を強く示唆する所見で, 水疱部からの細菌培養でもゲンタマイシン耐性Staphylococcus aureusが検出された. 蛍光抗体直接法にて表皮細胞間にIgG, C3の沈着を認めたため, 水疱性膿痂疹を合併した落葉状天疱瘡と診断した. ミノサイクリン200mg/dayとニコチン酸アミド1200mg/dayの内服投与にて水疱の新生は消失した. 本邦では中等症の落葉状天疱瘡に対する治療としてステロイド剤の全身投与が一般的であり, ステロイド剤を投与せずミノサイクリンとニコチン酸アミドの併用が奏効したとの報告はない.