緑茶は古くより様々な薬理効果が知られ, 特に緑茶中のカテキン類の抗酸化活性の重要性が多くの研究によって示されている.これに対して著者らは, カテキン類を熱湯抽出した後の茶ガラ中に存在する抗酸化活性を分析した.茶ガラをアセトン処理し, その抽出液をリノール酸から過酸化脂質が生成される実験系に添加したところ, 強い抑制作用が観察された.そこで, アセトン抽出液をシリカゲル薄層クロマトグラフィーを用いて分析したところ, 複数の色素の存在が明らかとなり, その色調, Rf値, および分光スペクトラムの特徴よりそれらはクロロフィル類(aとb), フェオフィチン類(aとb)そしてカロチノイド類(β-カロチンとルテイン)と考えられた.そこでそれぞれの色素について過酸化脂質の生成に対する抑制効果を調べたところ, すべての色素が有意の抗酸化活性を示した.以上の結果は, 緑茶の有する抗酸化作用の観点からカテキン類を含む「飲むお茶」とともに他の多くの抗酸化物質を含む「食べるお茶」の摂取が生活習慣病を予防するのに有効である可能性が示唆された.