2001 年 10 巻 9 号 p. 631-635
小脳虫部に発生したclear cell ependymomaの1例について報告する.症例は62歳男性で, 頭痛, 嘔気, 歩行障害のため来院した.MRIで小脳虫部にGdで辺縁が造影される嚢胞性病変を認めたため, 後頭下開頭摘出術を施行した.術中所見では, 腫瘍は赤色, 境界明瞭で血行に富んでいたためhemangioblastomaが疑われた.しかし, 病理組織検査では腫瘍細胞はclear cellで, 一部にperivascular pseudorosetteを形成し, GFAP陽性を示したことから, 小脳虫部に発生したclear cell ependymomaと診断した.後頭蓋窩のclear cell ependymomaは, 画像, 肉眼所見上hemangioblastomaに類似しているため, 病理組織学的鑑別が必要である.