静脈学
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災害時,避難所への段ボールベッドの供給方法と全国を対象とした防災協定の取組みについて
水谷 嘉浩
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2012 年 23 巻 4 号 p. 335-344

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抄録

●要  約:東日本大震災は,東北3県およびその周辺にわたり甚大な被害をもたらした.震災発生後,低体温症を予防し避難者を助ける目的に,われわれは段ボールベッドのプロトタイプを平成23年3月20日に作成した.その後段ボールベッドが避難所のエコノミークラス症候群,呼吸器疾患,廃用症候群に有効であることが判明したため,東北3県と和歌山県奈良県に約3000床を提供した.段ボールベッドは,腰をかけたときに足がしっかり地面につく高さで,組み立てに工具の必要はなく,6カ月以上の使用が可能である.高齢者のADL低下,ストレスの低減,埃の吸引減少など多くの利点を有している.イタリア北部地震を視察したが,避難所では大型テントが設置され,パイプ製簡易ベッドも被災者分配置した迅速な設営が行われていた.現在は,備蓄不要で災害発生後に迅速に届ける防災協定の締結を,自治体と進めている.また政府への働きかけにより,平成24年9月6日防災基本計画の改定で,避難所の項目に初めて簡易ベッドの導入に関する文言が記載された.ストップザ雑魚寝!今後はこの教訓を活かし,避難所のQOLを改善するため努力することが,段ボール産業従事者の務めと認識している.

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