静脈学
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―特集―保険適用となった圧迫療法 日本静脈学会弾性ストッキング・圧迫療法コンダクター養成委員会報告
—特集—保険適用となった圧迫療法 日本静脈学会弾性ストッキング・圧迫療法コンダクター養成委員会報告 圧迫療法:基礎と理論
佐久田 斉松原 忍孟 真
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ジャーナル オープンアクセス

2021 年 32 巻 1 号 p. 21-28

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抄録

圧迫療法は弾性ストッキングなどの弾性着衣や弾性包帯の装着,空気圧式マッサージ器により身体に圧迫圧をかける治療法であり,静脈性潰瘍の治癒促進および再発減少,深部静脈血栓症(DVT)発症のリスク軽減,DVTなどによるうっ血症状の緩和に有効である.圧迫療法が有効に働く機序として静脈還流の改善および増強,浮腫や微小循環の改善,炎症性サイトカインの減少などがある.それゆえ圧迫療法を理解するには,静脈還流の機序と影響する因子,浮腫が発生する機序と原因など,生理学的な基礎知識が重要である.また,圧迫療法は生体に圧をかけることにより治療効果を発揮するため,圧迫装具の物理学的特性を理解することが必要である.後者は圧迫圧を安静時と運動時に区別した上で,圧迫療法を規定する安静時圧迫圧,層の数,構成要素,伸縮性・伸び硬度の因子別に分けて考えると理解しやすい.圧迫療法に関する力学法則としてはLaplaceの法則が重要である.本稿では,主に静脈疾患に対する圧迫療法の生理学的基礎知識とその理論を解説する.

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