2014 年 25 巻 4 号 p. 189-203
地形及び地質調査で得られるデータには,種類と程度の異なる複数の不確実性が含まれる.このため,それらデーを利用し構築される地形・地質発達史には,使用データに起因する不確実性が必然的に含まれることとなり,デーの不確実性の評価が重要となる.本研究では,地形・地質発達史の復元における主要な入力データである隆起速の算出結果について,階層分析手法の一つであるEvidential Support Logicを北海道北部の幌延地域における複数の査事例に適用し,不確実性の発生要因やデータの不確実性の程度を分析した.その結果,隆起速度の算出結果に確実性をもたらす調査項目を特定し,不確実性の程度を定量的に示すことができた.今後,ESLの分析結果を踏えた調査項目の設定とデータ品質管理手法を地質環境調査の体系へ組み込むことにより,要求品質に見合う調査ータを効率的に取得できると考えられる.