日本放射線技術学会雑誌
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MRI に関する技術的検討班報告
田村 鋒男赤井 喜徳井澤 章川合 英夫助川 和也松田 豪熊谷 博司千尾 武彦山田 幸典
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1993 年 49 巻 7 号 p. 962-971

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抄録

本班は2年間にわたって事業を継続し以下の問題について検討し結論を得た.1)撮影条件の最適化について1)MRIのスキャン・パラメータは多数あり, アンケートの結果によればそれらはかなり広範囲に分布している.スキャンタイムの短縮, スキャン方向の減少等がスループットに大きく寄与するので各施設の経営方針がバラツキを左右するものと考えられる.2)MRI装置の発展はまだ日進月歩の段階であり各メーカーが開発を競っており用語の統一もまだなされていない.3)MRIは従来のX線写真の評価で問題となるコントラスト, 鮮鋭度以外にT1, T2強調, フロー等の診断要素が加わるので画像診断医の意見も無視できない.4)症例, 撮影部位により撮影パラメータ, コイル, 付属品などハードも異なりこれらを決定することは不可能である.5)MRI装置, 磁場強度によりSN比, コントラスト比が異なるため各装置, 磁場強度ごとに撮影パラメータを設定しなければならず問題が多い.これら以外にも細かな問題点もあり撮影条件の最適化を決定することは困難である.2)性能評価について現状では標準ファントム, SN比, コントラスト比等の測定方法がNEMA, AAPM, EEC等で検討され一部は報告されているが以下の項目について検討した.1)SE法によるT1, T2強調の頭部イメージについてT1強調像の視覚評価では0.5Tの上下で差があった.1.5TではT1強調像の画質がT2強調像より撮影パラメータに影響される傾向にあった.SN比は磁場強度, TR, TEにより異なるが1.5Tの機種間で大きな差があった.コントラスト比は0.3Tで最大となり, TR, TEについては値がバラツイた.原因は画像再構成, パラメータの選択, 動き, フロー等が考えられる.2)班試作の統一ファントム・イメージについて磁場強度によるSN比の差はあった.しかし同一磁場(1.5T)装置間で大きな差がみられた.これはRFコイルの形状, タイプによる感度差, 生データでなく画像表示方法の相違などが主原因と考えられる.TR, TEによるSN比の変動はファントム溶液の緩和時間に依存したものであり装置間で同様な傾向であった.以上の検討よりパラメータの非統一化, ハードの差などによる臨床評価との差はあるが規定したTR, TEによるSN比を用いた性能評価は可能である.

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© 1993 公益社団法人 日本放射線技術学会
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