2023 年 79 巻 8 号 p. 802-809
【目的】本研究の目的は,小児核医学検査を想定した低液量の99mTc-MAAを投与した時のシリンジと投与ルート内の残留率を評価することである.【方法】99mTc-MAAの残留率について,放射性医薬品の違いによる影響,プラスチックシリンジ吸引から投与までの経過時間の影響,共洗い回数と経過時間の影響,および体重別投与量における液量の違いによる影響について,ガンマカメラで撮像したプラナー画像を用いて検討した.【結果】99mTc-MAA, 99mTc-MAG3,および123I-IMPの残留率は,それぞれ41.3±1.6%,14.4±0.6%,14.6±2.0%と99mTc-MAAのみ明らかに残留率が高値を示した.経過時間の延長に伴い残留率は増加し,30分で41.3%と高残留率となった.標識用99mTcO4−の液量の違いによる残量率の変化は認められなかった.共洗い回数が1回以上では残留率に変化は認められなかった.いずれの体重別投与量においても残留率は40%前後を示した.【結語】小児核医学検査に用いられる放射性医薬品において,99mTc-MAAは残留率が最も高く,プラスチックシリンジに吸引してから投与までの経過時間に最も影響を受けた.