2017 年 43 巻 1 号 p. 8-12
嗅神経芽細胞腫はその発生頻度の稀さゆえに治療方法は確立していない。当院では2004年に三嶋らがcyclophosphamide, doxorubicin, vincristine, 持続投与のcisplatin, etoposide(CADO-CVP)による導入化学療法が高い奏功率を得られていることを報告してから,2004年以降CADO-CVP療法を一次治療として用いる機会が増えている。今回1992年1月から2012年12月までに当院で一次治療を実施した嗅神経芽細胞腫31症例を対象とし導入化学療法実施群,非実施群に分類しretrospectiveに検討したので報告する。全体の5年粗生存率は82%で,5年無病生存率は53%であった。両群の5年無病生存率は,導入化学療法実施群では65%,非実施群では24%で統計学的に有意差を認めた。また治療後5年以上経過してから再発転移を来たした症例も4例認め,長期経過観察が必要であると考えられた。