1988 年 79 巻 5 号 p. 910-917
複雑性尿路感染症の起炎菌となった38株の Serratia marcescens に対する血清補体の殺菌作用および補体とセフェム剤との協力的殺菌作用について検討した.
血清補体に対する各株の感受性は健康成人男子10名より得た pooled serum 中で1時間培養後の菌の生存率よりもとめた. その結果, 生存率が10-2以下の補体高度感受性株は24株 (63%), 10-1以上の補体低感受性株は8株 (21%), それら以外の補体中等度感受性株は6株 (16%) であった. これらの中から補体高度感受性株と補体低感受性株各1株を選び, それらに対する補体とセフェム剤との協力的殺菌作用の有無を検討した. 50%発育阻止濃度の ceftizoxime, ceftazidime あるいは cefotaxime と maximum sub-lethal concentration のモルモット補体共存下における両株の経時的生菌数を比較したが, 両者の比はいずれも10-2以下であり, 補体とセフェム剤は相加的にS. marcescens を殺菌することが示唆された.