日本泌尿器科學會雑誌
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慢性血液透析患者における二次性副甲状腺機能亢進症に対する副甲状腺亜全摘除術12例の経験
藤田 民夫浅野 晴好絹川 常郎小野 佳成大島 伸一今川 卓一郎天野 泉杉山 敏富田 明夫
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1981 年 72 巻 1 号 p. 98-107

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抄録

昭和51年5月より, 昭和55年7月までに, 社会保険中京病院において, 12例の内科的治療の困難な腎性骨異栄養症を合併する血液透析患者に対し, 副甲状腺亜全摘除術を施行した. その結果, 1) 亜全摘除ができたのは9例で, 3腺切除2例, 22/3腺切除1例であつた. 平均摘除副甲状腺総湿重量は, 2248.1±3197.1 (80~10,500)mgであつた. 2) 術後合併症として, 反回神経損傷を2例に, pretetany 様症状を5例に認めた. 3) 12例中9例に術直後より, 臨床症状の明らかな改善が認められ, うち7例は完全社会復帰を果たしている. 12例中3例には, 全く手術効果を認めなかつた. 4) 有効群9例の摘除副甲状腺総湿重量は, 平均2,961.2±3,429.6mgで, 3例の無効群の平均107.3±24.2mgよりも有意に大であつた. 5) 術前血清PTH値は慢性血液透析患者の二次性副甲状腺機能亢進症の診断に有用であつた.

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