2018 年 109 巻 4 号 p. 194-203
(目的) MRI-TRUS融合画像ガイド下生検により診断された限局性前立腺癌に対するHIFUをもちいたFocal Therapyについて,1年間の臨床成績を報告すること.
(対象と方法) 対象は,血清PSA値が20ng/ml以下で,MRI-TRUS融合画像ガイド下標的生検によりsignificant cancerが検出された低,中リスク前立腺癌症例.Significant cancer局在区域に対して,HIFUを用いたfocal therapyを施行した.
(結果) 対象症例は10例.年齢中央値は68歳,血清PSA中央値は7.07ng/ml,治療時間中央値は29.5分間であった.治療後全例が24時間以内に尿道カテーテルを抜去し,退院した.治療後の造影MRIでは,全例においてsignificant cancerを含む治療領域の血流消失し,治療後3カ月目の血清PSA値中央値は1.35ng/mlまで有意に低下した.治療6カ月目の生検では,治療領域外からsignificant cancerが1例で検出された.IPSS,OABSS,最大尿流量,IIEF-5,EPICおよびSF-36では,治療前後で有意な増悪は認められなかった.合併症として尿路感染症が1例,1カ月以内に自然消失した切迫性尿失禁が1例で認められた.
(考察) 本治療の1年間の臨床成績は,治療の安全性と有効性を示唆させる結果であった.