日本泌尿器科学会雑誌
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原著
MRI-TRUS融合画像ガイド下生検により診断された限局性前立腺癌に対する高密度焦点式超音波療法をもちいたFocal Therapy:1年間の前向き臨床試験成績
小路 直平岩 真一郎小川 貴博花田 いずみ中野 まゆら座光寺 秀典橋田 和靖松本 知博長谷部 光泉田尻 琢磨内田 豊昭宮嶋 哲
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2018 年 109 巻 4 号 p. 194-203

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抄録

(目的) MRI-TRUS融合画像ガイド下生検により診断された限局性前立腺癌に対するHIFUをもちいたFocal Therapyについて,1年間の臨床成績を報告すること.

(対象と方法) 対象は,血清PSA値が20ng/ml以下で,MRI-TRUS融合画像ガイド下標的生検によりsignificant cancerが検出された低,中リスク前立腺癌症例.Significant cancer局在区域に対して,HIFUを用いたfocal therapyを施行した.

(結果) 対象症例は10例.年齢中央値は68歳,血清PSA中央値は7.07ng/ml,治療時間中央値は29.5分間であった.治療後全例が24時間以内に尿道カテーテルを抜去し,退院した.治療後の造影MRIでは,全例においてsignificant cancerを含む治療領域の血流消失し,治療後3カ月目の血清PSA値中央値は1.35ng/mlまで有意に低下した.治療6カ月目の生検では,治療領域外からsignificant cancerが1例で検出された.IPSS,OABSS,最大尿流量,IIEF-5,EPICおよびSF-36では,治療前後で有意な増悪は認められなかった.合併症として尿路感染症が1例,1カ月以内に自然消失した切迫性尿失禁が1例で認められた.

(考察) 本治療の1年間の臨床成績は,治療の安全性と有効性を示唆させる結果であった.

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© 2018 一般社団法人 日本泌尿器科学会
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