日本口腔腫瘍学会誌
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アンケート調査よりみた下顎歯肉癌治療の現状と問題点
大関 悟池村 邦男大鶴 洋川辺 良一佐々木 朗中村 太保野口 誠前田 顕之山城 正司岡部 貞夫
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2004 年 16 巻 4 号 p. 183-191

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抄録

下顎歯肉癌の治療ガイドラインの作成にあたり, 日本での下顎歯肉癌治療の現状を把握するためにアンケート調査を行い, その集計結果から日本における下顎歯肉癌治療の現状とその問題点を報告した。
有効回答の得られた86施設の過去10年間 (1993-2002) における総症例数は2, 986例で, そのうちT4が1016例で1/3を占めていた。下顎歯肉癌T4の基準では下顎管分類をT4としている施設は57施設 (65.5%) で, 骨浸潤以外に深部軟組織浸潤をT4の基準に挙げていた施設はわずか34施設 (39%) にすぎず, ガイドラインの作成にはT4の基準の統一化がまず必要であると思われた。
治療法で最も問題となる下顎辺縁切除と区域切除については, その適応の基準となる因子について, 腫瘍の大きさ, 骨浸潤の有無と深さ, 骨吸収様式など概ね各施設で一致していたが, 実際の適応基準は各施設問でかなりばらつきがあり, 標準的な下顎切除の適応基準の作成が可能かどうか大きな問題と思われた。

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