2021 年 54 巻 12 号 p. 901-908
近年,正中弓状靭帯圧迫症候群(median arcuate ligament syndrome;以下,MALSと略記)についての治療報告例が散見されるが,その診断についてはいまだ明確な基準がないのが現状である.腹部造影CTでの狭窄評価や腹部超音波を用いた流速評価が有用とされているが,腹腔動脈起始部狭窄の原因は多岐に渡り,靭帯切離術後も血流改善を認めない報告例がある.今回,膵十二指腸動脈瘤破裂に対して経皮的カテーテル治療後,血管内超音波を用いてMALSと診断し,待機的に腹腔鏡下靭帯切離術を施行した1例を経験したため報告する.