日本臨床細胞学会雑誌
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症例
外陰部に発生した顆粒細胞腫の 1 例
松浦 祐介小原 光祥藤原 仁岡 春子島尻 正平蜂須賀 徹牛嶋 公生
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2017 年 56 巻 3 号 p. 149-153

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抄録

背景 : 顆粒細胞腫はまれな良性軟部組織腫瘍であり, 15%程度が外陰部に発生する.

症例 : 36 歳, 2 回経妊 2 回経産. 5 年ほど前から 2 cm ほどの外陰部腫瘤を自覚していた. 腫瘤は徐々に増大傾向にあったため, 左大陰唇皮下の胡桃様に硬い長径 4 cm 大の腫瘤に対して外陰部腫瘍摘出術が施行された. 肉眼的には境界不明瞭な充実性腫瘤であり, 病理組織検査では線維化を伴った類円形~紡錘形の腫瘍細胞がシート状・索状に密に増殖していた. 小さな濃縮核と豊富な細胞質には好酸性顆粒が認められた. 免疫組織化学的には S-100 蛋白, CD68, NSE が陽性であり, 顆粒細胞腫と診断された. 腫瘍捺印細胞診では炎症性背景に広い顆粒状の細胞質を有する腫瘍細胞が出現していた. 核は小型類円型で中心に位置し, 小型核小体を有しており, 顆粒細胞腫に特徴的な所見であった. また, 裸核状の軽度異型細胞が多数認められ, 一部の核には核溝が認められた.

結論 : 本腫瘍は末梢神経由来であり, 免疫染色で神経系マーカーが陽性であった. 約 2%と, まれに悪性の経過をとるものがあるため, 十分な範囲を設定したうえで腫瘍が切除されることが望ましい. また, 腫瘍径が 4~5 cm 以上の症例では, 治療後の厳重な経過観察が必要である.

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