日本臨床細胞学会雑誌
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偏光レンズを用いた肺角化型扁平上皮癌の診断
江村 巌白浜 美佳渡辺 徹
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1993 年 32 巻 3 号 p. 365-372

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抄録

錯角化に陥った扁平上皮癌細胞のほとんどは複屈折を示すことから, 偏光レンズを用いると, 容易に錯角化に陥った細胞の大部分をそれと認識できることが判明した. 複屈折を示す錯角化に陥った細胞は, 核が濃縮している細胞 (複屈折+, 核濃縮+; K, P-CELL) と核が濃縮していない細胞 (複屈折+, 核濃縮-; K, NP-CELL) とに大別できた. 扁平上皮癌細胞は錯角化に陥ると核が縮小すると判断された. 角化型扁平上皮癌の診断にあたっては細胞診標本中にK, P上CELLとK, NP-CELLとが同時に観察されることが重要である. 24μ2以上 (同じ面積の円に置き換えてみて直径が5-6μ 以上) の核を持ったK, P-CELLや, 濃縮核に近い形態の, あるいは空胞状に変性した45μ2以上 (同じ面積の円に置き換えてみて直径が7-8μ 以上) の核を持ったK, NP-CELLが観察され, それら細胞の核に大小不同がある症例をみたら角化型扁平上皮癌を疑い精密検査を行う必要があると考えられた.

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