身の回りにあるクロムを含む多様な物品のクロムK殻X線吸収スペクトルを実験室系装置により測定し,XANESスペクトル解析により三価クロム種に対する六価種の定量分析を行った.高感度および高分解モードのスリット設定で測定されたXANESスペクトルの形状比較より,定量分析のために適した測定条件について論じた.全クロム中六価クロム種の定量はプリエッジピーク高さを用い,二種類の六価クロム化合物を用いても検量線の傾きの差は 1%であった.解析の結果,測定した三点の革製品およびクロム白雲母には六価クロム種は含まれていなかった.虹色光沢を呈したクロメート試料からは六価クロム種が検出された.