日本形成外科学会会誌
Online ISSN : 2758-271X
Print ISSN : 0389-4703
原著
当科で治療した悪性軟部腫瘍の内容と予後および術後機能に関する分析
安倍 吉郎峯田 一秀山下 雄太郎長坂 信司山崎 裕行板東 真由美馬 俊介橋本 一郎
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2023 年 43 巻 3 号 p. 116-126

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抄録

 目的:悪性軟部腫瘍は希少がんであり,疾患の特徴と予後について多くの集積を要する。今回徳島大学病院形成外科において実施された治療内容と成績を検討した。
 方法:当科で治療した悪性軟部腫瘍58例の疾患,治療内容,転帰,術後機能についてカルテ情報をもとに検討した。
 結果:頭頚部発生が20.7%を占め,32.8%は中間型腫瘍,84.5%は表在性腫瘍であった。全例で広範切除されたのちに35例が皮弁で再建され,13例で追加補助療法が行われた。中央値50ヵ月の経過観察期間中の局所再発率と転移率はともに6.9%,5年生存率は96.7%であった。筋皮弁により機能再建された10例のMusculoskeletal Tumor Society scoreは平均85.3であった。
 結論:頭頚部発生と表在性ならびに中間型腫瘍が多かったことは形成外科診療の特徴と考えられた。これらは良好な予後と術後機能獲得に影響を及ぼしたと思われるが,十分な広範切除と皮弁再建の貢献も大きいと思われた。

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