臨床神経学
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症例報告
B症状や末梢神経障害を契機に診断された,クリオグロブリン血症性血管炎の1例
足澤 萌奈美脇田 雅大上床 尚阿部 恵松島 理明矢部 一郎
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2023 年 63 巻 5 号 p. 291-297

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抄録

症例は50代男性.受診3年前から寒冷での皮膚変色を自覚し,2ヶ月前より微熱,体重減少,夜間の盗汗などのB症状と四肢異常感覚・表在覚鈍麻が加わった.血液検査で炎症反応亢進,リウマトイド因子(rheumatoid factor,以下RFと略記)高値,補体低下を認め,クリオグロブリン陽性であった.画像検査で全身リンパ節腫大がみられ,頸部リンパ節生検,筋生検を施行した.病理組織診で節性辺縁帯リンパ腫,クリオグロブリン血症性血管炎(cryoglobulinemic vasculitis,以下CVと略記)の診断となり,化学療法,ステロイド療法で症状は軽快した.CVは稀な免疫複合体性小血管炎であるが,血管炎を疑った際には鑑別に挙げ,RFや補体の測定を考慮し,感染症,膠原病,血液疾患などの原因疾患を検索すべきである.

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© 2023 日本神経学会

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