2023 年 63 巻 4 号 p. 221-224
症例は37歳男性.意識障害で救急搬送となり,搬送時にけいれん重積状態であった.頭部MRIではFLAIR像とT2強調像にて両側内側側頭葉,大脳皮質,皮質下に異常高信号を呈し,びまん性の腫脹を伴っていた.ウイルス性脳炎や自己免疫性脳炎を疑ったが,血清と髄液の梅毒反応がともに陽性であり,神経梅毒と診断した.ペニシリンGとステロイドパルス療法で治療し症状の改善を認めた.辺縁系脳炎様の画像所見を呈する神経梅毒はけいれん発作を主訴とすることが多いとされている.病歴を聴取することが困難な場合があり,辺縁系脳炎では神経梅毒を鑑別の一つにあげることが重要である.