2022 年 62 巻 10 号 p. 773-780
遺伝性神経・筋疾患に対する治療薬の開発・研究の進展により,早期治療を目的とした発症前診断と遺伝カウンセリングの必要性が増大すると予想されるが,本邦には発症前診断に対する統一した見解に基づく実施手順が存在しない.標準化された実施体制構築のための基礎資料とすることを目的に,全国の遺伝子医療部門を対象に現状調査を実施した(回答率67.4%).質問紙調査の結果,約60%の施設が発症前診断実施までの手順を独自に定めていたが,内容は施設により異なった.半構造化面接調査では,対象者の経験や見解から体制構築に必要な要因が抽出された.今後,体制構築の一助となる発症前診断に関する標準的な手順書が求められる.