臨床神経学
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症例報告
高度肥満で急速に呼吸不全が進行した筋萎縮性側索硬化症の1例
馬場 大輔陣上 直人南 卓馬朴 貴瑛髙橋 良輔大鶴 繁
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2022 年 62 巻 8 号 p. 602-608

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抄録

55歳女性.53歳より四肢の筋力低下が出現し,54歳で筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis,以下ALSと略記)と診断され,body mass indexは38.2で高度の肥満を認めた.過食傾向を認め,画像所見から前頭側頭型認知症の合併が示唆された.%努力性肺活量が診断5ヶ月後には69%から39%に低下し,その2ヶ月後には気管切開下人工呼吸管理に至った.前頭側頭葉変性症を背景とした前頭葉や視床下部の神経変性により過食傾向と肥満が維持され,肺胸郭のコンプライアンス低下と呼吸筋の運動負荷量の増大が急速な呼吸不全を及ぼしたと推察された.一般的にALSでは高カロリーの栄養管理が推奨されるが,高度の肥満の合併例では慎重を要する.

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© 2022 日本神経学会
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