2019 年 59 巻 6 号 p. 375-378
症例は16歳男性.入院7日前から排尿障害が出現し,当院泌尿器科を受診.尿閉のため尿道バルーンカテーテルを留置し一旦帰宅したが歩行障害が出現し,当科に入院.頸胸椎MRIでC2~Th9に長い脊髄病変を認めた.自己免疫機序が関与した横断性脊髄炎を疑い,ステロイドパルス療法を施行し,症状は軽快.本例は抗aquaporin4(AQP4)抗体は陰性であり,抗myelin oligodendrocyte glycoprotein(MOG)抗体陽性の横断性脊髄炎と診断した.渉猟したかぎり,抗MOG抗体陽性症例の15椎体以上に及ぶ脊髄病変は稀であり,治療経過とともに報告する.