臨床神経学
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症例報告
右側の眼球運動障害と高度中大脳動脈狭窄を合併した眼神経帯状疱疹の長期観察例
村松 倫子林 広美岸谷 融三浦 豊章新井 良和小林 康孝
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2015 年 55 巻 6 号 p. 406-411

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抄録

症例は68歳男性.右眼神経帯状疱疹の加療2ヵ月後,右眼の眼球運動障害,右瞳孔散大あり.髄液中単核球・蛋白上昇,帯状疱疹ウイルス(varicella zoster virus; VZV)-IgM陽性,頭部MRIで右基底核に無症候性の新鮮小梗塞,MRAで右中大脳動脈に高度狭窄をみとめた.その後,脳梗塞再発.髄液検査に変化なくVZV髄膜炎と診断,アシクロビルとプレドニゾロン,アスピリンで左手指脱力・右眼瞼下垂・右眼球運動障害は改善,加療継続し1年後に右中大脳動脈狭窄も改善した.眼神経帯状疱疹後の眼球運動障害・脳血管障害はVZVの血管への直接感染や炎症波及が原因とされる.脳動脈狭窄に対する長期加療が,脳梗塞発症リスクを軽減すると考えた.

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© 2015 日本神経学会
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