2014 年 54 巻 12 号 p. 1148-1150
変異TDP-43タンパク質の生化学的特徴と臨床情報の検討から,変異TDP-43の細胞内半減期は延長し,半減期とALSの発症年齢は負に相関することをみいだした.本知見に基づき,TDP-43の細胞内半減期を自由に調節できる細胞モデルを開発した.TDP-43タンパク質を安定化するとタンパクの切断,界面活性剤に対する不溶化など孤発性ALSの病巣でみられるTDP-43の生化学的特徴を再現した.安定化TDP-43の存在下では自己mRNAの制御機能が破綻し,TDP-43タンパク質発現を慢性的に上昇させ,蛋白質の機能不全を惹起することを通じて,一部はgain-of-toxicityの機序で神経毒性をきたしうる.