2022 年 42 巻 p. 429-436
目的:自ら支援を求めない児童虐待事例の養育者との関係形成において保健師が抱く困難の構造を明確にすること.
方法:A県内の市町村保健師5名に半構造化面接を実施し,KJ法を用いてデータを構造化した.
結果:保健師が直面する困難は,【手応えの不確実さ】,【養育者の性格特性の難しさ】,【不安の先行と増大】,【切られないよう腐心する難しさ】,【「子どもの最善の利益」が二の次になる苦悩】,【重圧と孤立】であった.
結論:保健師と養育者の関係形成のために次の3点が示唆された.養育者のトラウマの理解,関係形成とリスク判断という対立した使命を分けること,そしてスーパーバイズを受ける機会の必要性である.