目的:本研究の目的は,心理的困難に直面している訪問看護師に対して,「継承的視点での捉え直し」と「ケアリングの相互性の実感」の意識化を促すことにより職務継続意向への効果を検討することである.
方法:対象は現職訪問看護師59名を無作為に介入群29名,対照群30名に振り分け,困難事例の想起を促した後に,介入群にのみ「継承的視点での捉え直し」と「その事例から得ているものの意識化」を促す介入を行った.介入評価は「職務継続意向」に関する尺度を使用し,介入時と2週間後の2期に測定した.
結果:困難事例の想起のみを求めた対照群では職務継続意向が低下したが,介入群では,職務継続意向が維持され,訪問看護経験全般におけるケアリングの相互性の実感が高まっていた.
結論:困難に直面している訪問看護師に対して「継承的視点での捉え直し」や「その事例から得ているものの意識化」を促すことの有用性が示唆された.