2017 年 26 巻 3 号 p. 363-366
頭頸部手術において,顔面神経下顎辺縁枝の機能温存は,術後QOLを保つために大切である。また,その結果のフィードバックは手技向上のためにも重要である。本研究では,術後の口唇運動麻痺の多様性とその評価について検討した。
2013年以降に手術を行った耳下腺良性疾患100例を対象に,口角下制時,口唇突き出し時の口唇運動の左右差を評価した。
口唇下制の左右差は36例で確認された。その中でオトガイ筋収縮スコア0は22例,1は9例,2は5例であった。術後1か月ではそれぞれ31%,77%,100%,3か月では5%,56%,100%で口角下制左右差が残存した。
術後口唇運動麻痺は,オトガイ筋収縮の程度により群分けができ,治癒予測の根拠となると考えられた。