2022 年 25 巻 3 号 p. 225-231
電池を使わずに動作するテキスタイルベースの水分検知システムを開発するため,酸化還元電位の異なる電極に水が接触すると電力を生成する蓄エネルギ構造の水分センサを作製した。電極は,銀集電体層と酸化銀または亜鉛活物質層を不織布にコーティングし,導電性糸を使用して櫛歯状に布基板に縫い付け作製した。このテキスタイルベースのセンサは,プラスチック基板上に印刷で作製された同じ構造のセンサよりも高い出力特性を持ち,このセンサを3素子直列に接続することで無線通信用ICを動作させることができた。そこで,この水分センサを使って複数の座席において特定の座席の濡れを検知する「バッテリーレス水分検知システム」を実現した。