整形外科と災害外科
Online ISSN : 1349-4333
Print ISSN : 0037-1033
ISSN-L : 0037-1033
後十字靭帯に尿酸結晶沈着とムコイド変性を併発した1例
吉武 孝次郎永野 賢上原 慎平福島 庸介河野 眞司崎村 陸
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 67 巻 3 号 p. 527-530

詳細
抄録

膝十字靭帯のムコイド変性は比較的に稀である.今回,尿酸結晶沈着にムコイド変性を併発した1例を経験したので報告する.症例は38歳男性.痛風発作の既往あり.数年前より右膝窩部に違和感があり,1週間ほど前より誘因なく屈曲制限が出現した.診察上,関節水腫は軽度,膝屈曲時に膝窩部に疼痛を認めた.MRIで後十字靭帯(PCL)は著明に腫大し,内部はT2強調画像で高信号変化を認めたが,連続性は保たれていた.鏡視にてPCLは靭帯全周性に結晶が沈着し,脆く,膨化していた.機能不全に陥った部分を切除すると,内部に黄色のムコイド変性が露出し,これを可及的に切除した.PCL後方には結晶沈着とガングリオンが観察され,可及的に切除した.病理診断にて,結晶は尿酸結晶,切除検体はムコイド変性だった.術後6カ月で症状なく,関節不安定もなく経過良好である.

著者関連情報
© 2018 西日本整形・災害外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top