日本栄養・食糧学会誌
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総説
卵白(乳酸発酵卵白)の新規保健機能研究とその応用
(令和2年度日本栄養・食糧学会技術賞受賞)
松岡 亮輔木村 守有満 和人兒嶋 高志
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2021 年 74 巻 4 号 p. 147-154

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抄録

卵白タンパク質は, 栄養機能は高いことは知られているものの, 健康機能についてはほとんど研究されていなかった。そこで, 卵白タンパク質が良質なタンパク源という特徴に着目し, 基礎的な研究を行ったところ, カゼインと比較して, 体タンパク質量, 筋肉量を増加させるとともに, 体脂肪量および内臓脂肪量を減少させることが示された。しかし, ヒトが卵白を多量に継続摂取することは比較的困難であったため, 卵白を乳酸発酵させることで, 風味を良くした「乳酸発酵卵白」を開発した。内臓脂肪が多めのヒトを対象とした試験を実施したところ, 「乳酸発酵卵白」は内臓脂肪型肥満を改善し, その効果は, 主にオボアルブミンによる脂質の吸収抑制によって引き起こされている可能性が示された。この「乳酸発酵卵白」は血清LDL-コレステロール濃度が高めの被験者で, 血清LDL-コレステロール濃度を低下することもわかった。卵白「乳酸発酵卵白」は, 生活習慣病の予防に活用できるタンパク源として, 人々の健康維持・増進に貢献することが期待された。

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