AUDIOLOGY JAPAN
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Usher 症候群タイプII・IIIの臨床経過の検討
橋本 泰幸岩崎 聡名倉 三津佳武林 悟水田 邦博峯田 周幸
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2005 年 48 巻 3 号 p. 214-219

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抄録

Usher 症候群は網膜色素変性症と感音難聴を伴う常染色体劣性遺伝疾患であり, 臨床経過により3つの型に分類されている。今回我々は, 浜松医科大学耳鼻咽喉科を受診し, 臨床症状から Usher 症候群タイプIIまたはIIIに分類された6症例に対し, 難聴・めまい・眼症状の臨床経過と検査結果について検討した。4症例をタイプII, 2症例をタイプIIIと判定した。比較的典型的な進行を示すものがある一方で, 前庭機能障害はないとされるタイプIIと考えられたものにおいても眩暈感の訴えを伴う症例や聴力の左右差を示すものがあった。同じタイプIIIと考えられた2例においても発症時期に大きな差が認められた。これらは1977年の Davenport らにより提唱された分類に必ずしも当てはまらない経過を示すものであった。今回の検討で, Usher 症候群は同じタイプ分類においても症状の程度, 出現時期などに多様性がある事が示唆された。

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