2001 年 13 巻 1 号 p. 35-45
国際的にも日本でもデータ・アーカイブが整備され, 公開データの充実, 2次分析の利用拡大の方向にある。本学会が実施した全国家族調査 (NFR98) も, 日本の家族の実情をとらえるデータを整備し公開する目的のもとに実施されたものであり, 今後, NFRを用いた国際比較が進むものと思われる。しかしながら, 比較に際しては, 各調査でとりあげられている家族/世帯の概念, および, 各調査の抽出単位と観察単位を検討しておく必要がある。本論では, 欧米の家族関連の公開データ, および, ヨーロッパ各国で用いられている家族概念および世帯概念を概述し, ついで, イギリスの家族関連の公開データをとりあげ, それぞれの調査で着目している単位を中心にNFR98との相違を考察する。最後に, 日本における家族関連の公開データの観察単位に言及し, データ・アーカイブの視点からみたNFR98の意義を検討する。