低異型度虫垂粘液性腫瘍(Low-grade appendiceal mucinous neoplasm,LAMN)はWHO分類に準じて大腸癌取扱い規約第8版にも掲載されたが,未だ標準治療は定まっていない.今回,われわれは腹腔鏡下に切除を行った2例を経験した.症例1:75歳女性.婦人科疾患精査中に虫垂に囊胞性病変を指摘され虫垂粘液囊腫と診断し,腹腔鏡下虫垂切除術を施行した.摘出標本の内部に豊富な粘液を認め,病理組織学的診断はLAMNであった.症例2:36歳女性.右下腹部腫瘤を自覚し,虫垂から連続する囊胞性病変を指摘され虫垂粘液囊腫の診断にて腹腔鏡下虫垂切除術を施行した.摘出標本の内部には粘液が充満し,病理組織学的診断はLAMNであった.今回経験した2例はいずれも虫垂先端に限局した病変で根部は正常虫垂であったことから,虫垂切除のみを施行した.本疾患について若干の文献的考察を加え報告する.