2009 年 34 巻 6 号 p. 1087-1091
大腸癌の卵巣転移は比較的稀な転移形式である.今回治癒切除後異時性転移2例を経験したので報告する.
症例1:58歳,女性.上行結腸癌術後,両側卵巣腫瘍に対して両側付属器切除を施行した.術後2年生存中である.症例2:48歳,女性.S状結腸癌術後,左卵巣腫瘍に対して左付属器切除を施行した.術後5カ月生存中である.両者とも免疫染色においてCK20染色陽性,CK7染色陰性であり,大腸癌の卵巣転移と診断された.大腸癌卵巣転移の予後は不良であるが,なかには長期生存例も報告されている.外科的切除は患者の苦痛を軽減し,症状緩和のためには有効な手段であり,卵巣転移に対しては積極的な切除が望ましい.