日本透析医学会雑誌
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症例報告
腎移植後後期に重症レジオネラ肺炎を発症した1例
江田 はるか謝花 政秀宮里 朝矩
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2020 年 53 巻 9 号 p. 487-492

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抄録

58歳, 男性. 29年前に慢性腎炎症候群のため父親をドナーに腎移植を受け, それまで特に合併症なく経過していた. 入院4日前より発熱, 咳嗽, 全身の筋痛を自覚したため当院を受診し, 肺炎の診断で入院となった. 入院時低ナトリウム血症, 肝機能障害, 高度の炎症反応の上昇を認め, 食後の嘔吐がみられた. 呼吸状態は急速に悪化し, 入院3日目にエンドトキシン吸着 (PMX) 療法を施行後, 持続的血液濾過透析 (continuous hemodiafiltration: CHDF) による体液管理を開始, 入院4日目に人工呼吸器管理を開始した. メロペネム (MEPM) 投与を行っていたが経過中にレジオネラ尿中抗原陽性であったためレジオネラ肺炎と診断しレボフロキサシン (LVFX) へ抗生剤を変更した. 経過中に肺膿瘍を合併し適宜抗生剤を変更しながら集学的治療を行った. 移植後29年を経て, 免疫抑制薬の合併症として重症化したと考えられるレジオネラ肺炎を経験したので報告する.

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© 2020 一般社団法人 日本透析医学会
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