日本透析医学会雑誌
Online ISSN : 1883-082X
Print ISSN : 1340-3451
ISSN-L : 1340-3451
二次性副甲状腺機能亢進症に対するmaxacalcitol (オキサロール®) 静注パルス療法の効果 -早期低用量使用の試み-
渡辺 緑子中田 敦博八島 彰人河出 恭雅佐藤 悌小杉 智規鳥山 高伸川原 弘久水野 正司森田 良樹松尾 清一
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 35 巻 8 号 p. 1193-1198

詳細
抄録

二次性副甲状腺機能充進症 (II°HPT) が比較的軽度で, 血清intact PTH (i-PTH) が500pg/mL未満の維持血液透析患者に対し, maxacalcitol (オキサロール®注, 中外製薬, 以下OCT) を添付文書上の用法・用量よりも低用量から使用し, その臨床効果を検討した. 対象は経口ビタミンD (VD) 剤を使用しているにもかかわらず, i-PTHが240pg/mL以上500pg/mL未満を示す維持血液透析患者19例 (男性15例, 女性4例) で, i-PTH値よりI群 (11例, 240≦i-PTH<360pg/mL) とII群 (8例, 360≦i-PTH<500pg/mL) に分類した. 経口VD剤を2週間中止した後, OCTを毎回透析終了時にI群では2.5μg, II群では5μgを透析回路静脈側から注入した. OCTの投与量は経過中の血清i-PTHと補正Ca値に応じて増減した. 治療開始前2週から, 開始後48週までを観察期間とし, 血清i-PTH・補正Ca・P・ALP・骨型ALP (b-ALP)・オステオカルシン (BGP)・副甲状腺体積をそれぞれ経時的に測定し, その推移を各群毎に治療開始2週前の値と比較検討した. i-PTHは両群とも, 治療前と比較し有意に低下した. 補正CaはOCT・Ca製剤を用量調節することでコントロール可能であったが, II群でより強い上昇傾向がみられた. P・ALP・b-ALP・BGPは観察期間中両群で有意な変化を認めなかった. 副甲状腺の体積については一部で減少を認めたが, i-PTHとの相関性はみられなかった. 以上のことから, i-PTHが500pg/mL以下の比較的軽度のII°HPTに対する低用量からのOCT静注パルス療法は, 血清Caの上昇を軽度に保ちつつ, 長期的にPTH抑制を維持できることが示唆された.

著者関連情報
© 社団法人 日本透析医学会
次の記事
feedback
Top