脳卒中
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実験的脳虚血に及ぼすトロンボキサン合成阻害剤 (OKY-046) の効果
脳血流と脳組織代謝
佐渡島 省三石束 隆男藤井 健一郎岡田 靖藤島 正敏
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1989 年 11 巻 4 号 p. 373-380

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抄録

高血圧自然発症ラット (SHR) の両側総頚動脈結紮による脳虚血モデルを用い, 1~3時間の脳虚血後15分再開通におけるトロンボキサン合成阻害剤OKY-046の脳循環代謝におよぼす影響を検討した.本剤5mg/kgの静脈内投与では虚血時の脳血流低下に差はみられなかったが (前値の10%以下), 30mg/kgでは1~3時間虚血時に血流がより保たれる傾向がみられた (前値の10~16%).虚血脳の乳酸は1, 3時間虚血後に用量依存性に上昇がおさえられ, 1時間虚血後のATPも対照の生食群が52%まで減少したのに対し, 5, 30mg/kgOKY-046の投与でそれぞれ77, 82%に保たれていた.同様に血中TXA2の上昇は有意に抑制され, PGI2は8.7倍の増加を示した.OKY-046は虚血時の循環障害を軽減し, 抗脳虚血作用を有すると考えられる.
選択的トロンボキサン合成阻害剤OKY-046の投与により, 実験的脳虚血での血中TXA2の増加が抑えられ, PGI2が上昇するのがみられた.また1時間, 3時間虚血15分再開通後の脳代謝の改善がみられたことより, 本剤は脳循環障害を軽減し, 抗脳虚血作用をもつと考えられる.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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