2012 年 23 巻 1 号 p. 3-9
津波災害では,津波廃棄物対策・処理システムは災害初動期から復旧・復興でのさまざまな災害対応や市民生活状況と関連するものであり,環境衛生面での安全・安心を供与する都市インフラである。この津波廃棄物に対する対応計画策定システムにおける,初動時での津波廃棄物発生量の推定手法を示す。そのうえで,災害初動時より災害廃棄物マネジメントを構築するという観点から,東日本大震災での津波廃棄物発生量の推定を行った。その結果,津波廃棄物発生量は,東日本の被災6県で合計約2,700万 ton と推定された。また,被災市町村の災害対応力からは,宮城県では16.5年,岩手県では11.7年と,平常時のごみ総排出量の10年分以上の津波廃棄物が発生しており,これは被災自治体の対応力を超えた津波災害であり,広域連携等の対応が求められる国難ともいえるスーパー広域災害であることを示しえた。