2000 年 11 巻 1 号 p. 11-20
農産廃棄物中に大量に含まれるヘミセルロースは, 主としてD-キシロースから成る多糖類である。したがって, ヘミセルロースを加水分解することによって, D-キシロースを得ることができる。しかし, D-キシロースの有効利用方法はあまり検討されていない。ここでは, D-キシロースから食品添加物や糖尿病治療に幅広く利用される甘味料であるキシリトールを微生物生産することを目的にして, 農産廃棄物としてピーナッツ殻を取り上げ, これを酸加水分解することによってD-キシロースを主成分とする培地を得ることを検討した。ピーナッツ殻を爆砕処理, 水酸化カルシウム処理, レジン (陰イオン交換レジンと吸着レジン) による処理および濃縮処理を行うことによって, Candida tropicalis IFO0618株によるキシリトール生産培地として利用可能な処理液を得た。この方法でのピーナッツ殻からのD-キシロース抽出率は約20%であり, 初発菌体量を5.0g/1で植菌した場合, 生産速度0.23g/1・h, 収率54.7%で8.7g/1のキシリトールが生産された。