2022 年 125 巻 8 号 p. 1298-1301
塩素消毒された水道水に殺菌作用があることはすでに知られているが, 水道水による含嗽の殺菌作用は明らかにされていない. そこで, 水道水および各種処理後の水道水の殺菌作用を観察し, それぞれの残留塩素濃度と比較した. さらに水道水含嗽後の頬粘膜上皮細胞への付着細菌数を測定した. その結果, 煮沸によって残留塩素を除去すると水道水の殺菌作用は消失し, 含嗽後あるいは唾液を添加した水道水からも残留塩素は検出されず, 水道水含嗽後の頬粘膜上皮細胞への付着細菌数も精製水と同数であった. 従って, 残留塩素を含む水道水には殺菌作用があるが, 唾液によって残留塩素の効果が失活するため, 水道水含嗽に殺菌作用はないと考えられる.