2014 年 117 巻 6 号 p. 821-826
喉頭全摘術は古くから確立された術式であるが, 高齢者や合併症の多い症例においては手術時間はなるべく短いほうが好ましい. リニアステープラーを用いた喉頭全摘術は海外においては多くの報告例もあり, 手術時間の短縮効果も報告されている.
喉頭癌症例に対して本術式を3例に施行した. 手術内容としては Skeletonization と呼ばれる喉頭の剥離操作を行い, リニアステープラーを用いて喉頭摘出と同時に咽頭の器械縫合を行った. 症例数が少なく統計学的解析には不十分であるが, 30分程度の手術時間の短縮効果がみられた. 喉頭全摘例のすべてに応用できるものではないが, 短時間での手術が望ましい場合には有用な手術手技と思われる.