日本耳鼻咽喉科学会会報
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原著
早期喉頭癌に対する臨床的検討
永谷 群司森 貴稔宇高 毅塩盛 輝夫大淵 豊明鈴木 秀明
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2007 年 110 巻 6 号 p. 447-452

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抄録

1999年から2004年までの6年間に当科で一次治療を行った早期喉頭癌患者71例 (男性68例, 女性3例, 平均年齢67.7歳) を対象とした. 内訳は声門上癌8例, 声門癌61例, 声門下癌2例であった. 一次治療として声門癌T1aに対しては放射線単独治療, それ以外に対しては放射線化学併用療法を行った. 早期喉頭癌の5年生存率は声門癌91.1% (T1a : 100%, T1b : 92.3%, T2 : 85.8%), 声門上癌75.0%であった, 局所制御率は声門癌79.6% (T1a : 80.0%, T1b : 74.0%, T2 : 85.2%), 声門上癌56.2%であり有意差が認められた (p<0.05). 喉頭温存率は声門癌84.4% (T1a : 100%, T1b : 76.9%, T2 : 77.5%), 声門上癌58.3%であった. 局所再発と頸部リンパ節転移はそれぞれ9例, 6例であった. 遠隔転移は声門癌4例に認められた. 原病死した症例は4例であり, うち3例は遠隔転移死していた. 以上の結果から早期声門上癌に対しては, 根治的放射線療法と治療効果不十分症例に対する喉頭全摘も含めた救済治療を考慮することで, 声門癌と同等の治療効果が得られると考えられた. さらに, 原病死症例の多くが遠隔転移死であることから, 再発例に対しては局所治療だけでなくadjuvant chemotherapyの導入が必要であると考えられた.

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© 2007 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
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