日本耳鼻咽喉科学会会報
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重症の睡眠時無呼吸症候群に対する集学的治療
菊池 淳坂本 菊男佐藤 公則中島 格橋本 鶴美原 浩貴名倉 三津佳
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2005 年 108 巻 8 号 p. 787-793

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抄録

(目的) 閉塞性睡眠時無呼吸症候群 (SAS) に対する治療は現在CPAPが中心であるが, AHIが100以上の重症例ではCPAP単独では治療が困難な例がある. これらの治療方針について検討した. (対象と方法) 2002年5月から2003年12月までの間に久留米大学病院睡眠医療外来を受診した374名のなかで, AHIが100以上の11例 (SAS患者の3.3%) を対象とした. それぞれの治療前後のAHIの改善度を検討した. (結果) 治療は全例まずCPAPを導入した. CPAP単独でAHIが80%以上改善した例が5例あったが, その他は70%以下の改善率であった. これらはいずれも扁桃肥大を伴っており, そのうち, 咽頭拡大術 (UPPP+扁摘) を追加した後にCPAPを行った2例では, 十分な効果を得られた. (結論) AHIが100以上の重症例でも, 扁桃肥大がなければCPAPで治療可能であった. しかし, 扁桃肥大を伴うものはCPAPでも効果が不十分であり, その中で咽頭拡大術を組み合わせることで十分な効果が得られた2例を報告した. 扁桃肥大を伴う重症SASでは, 集学的な治療が必要になると思われた.

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