2022 年 68 巻 4 号 p. 486-490
症例は63歳男性.非小細胞肺癌と診断され,2次治療としてニボルマブの単独投与が行われた.治療68日目,肺障害によりニボルマブは中止となった.治療111日目から皮疹,肝機能障害,肺障害を認め,ステロイドの全身投与が開始された.治療115日目,急な貧血の進行を認め輸血依頼があった.不規則抗体検査と直接抗グロブリン試験は陽性を示した.抗体解離試験にて自己抗体の特異性なし,ZZAP処理法にて血液型はB型,RhD陽性(CcDee),同種抗体なしと判定した.自己免疫性溶血性貧血(AIHA)と診断され,交差適合試験で凝集反応の弱いE抗原陰性赤血球製剤計12単位の輸血が行われた.ステロイドパルス療法が奏功し徐々に貧血の改善を認めた.免疫関連有害事象としてのAIHAは重篤となり輸血を必要とする場合が想定され,迅速に血液型判定や反応の少ない赤血球製剤の確保等の対応が必要と考えられる.